SME 3009 / 3012 特集
( The Scale Model Equipment, Tonearms )

SMEは有名なトーンアームメーカーですが、意外とそのシリーズは語られることがありません。

私の知っている範囲で、SME 3009/3012の歴史をお話したいと思います。


1959 最初のSME 3009/3012 トーンアーム(Series 1)

     特徴はこの後のタイプよりも分厚いステンレスの台座(BASE PLATE)に、
     テアドロップ型ではない、円形のセンタータワー形状です。

     いわゆるORTOFON SPU−Gが一番似合うのが、この最初期型です。
     このタイプは、中央一点のアライメント プロトラクタを使用します。
     プロトラクタの型番は3805で、イギリスのSMEから直接取り寄せない
     といけません。なお、3009は3012よりも一年遅れて出たようです。
     インサイドフォースキャンセラーは、後からオプションで出ました。

     


  その後、正確な年次はわかりませんが、概ね下記のようにシリーズ化されています。
  なお、それぞれの間には中間的なモデルもあります。パーツの互換性があるので、
  残っていたパーツを使いまわしていたようです。
  また、きちんとしたモデル概念は無かったように見えます。
  シリアルナンバーは、Series 2に入ってから振られているようですが、私の所有して
  いる1962年製と見られる3012 Series 2には、シリアルナンバーが入っていません。

  1959年に出た最初期型(Series 1)と同じベースブレートを使用しているものには、
  シリアルは無いようです。




3009 / 3012 初期のSeries 2 (1962年頃)

     いわゆる分割型のメインウエイトと、分割型のサブウエイトを
     もつタイプで、ここからテアドロップになったと記憶しています。
     このタイプは、中央一点のアライメント プロトラクタを使用します。
     この頃、SMEはイギリスにおけるSHURE社の代理店になり、
     そのSHURE V15への適応のためにアルミパイプになったようです。
     初期のSeries 2は円環タワータイプ(最初期型)の特徴も残しています。
     それはベース(BASE PLATE)の厚みがこの後のモデルの倍あるのです。
     軽針圧へのトライアルをはじめた機種です。
     なお、ベースプレートは重たい方が良いに決まっています。

     また特徴的なクシ型のコネクターですが、3種類ほどあるようです。
     1959年に出された最初のモデルのものと、初期のSeries 2のものでは、
     形状が異なります。また、中期以降のソケットもアース部分の構造が
     異なります。

     
     1960年代前半の生産と見られるSME 3012 Series II
     写真の固体は、インサイドフォースキャンセラーのBIAS GUIDEが
     IMPROVEDのものに交換されている。この後、BASE PLATEも
     グルメットが装着され、完全にオリジナル機能を取り戻している。




3009/3012 中後期型 Series 2(1960年代後半から、1972年まで)

     このモデルから日本にもたくさん入ってきたと思います。
     分割型でないメイン・サブウエイトが特徴です。
     初期型よりも薄いベース(BED PLATE)が特徴で、これ以降全部この薄いもの
     になります。このタイプは、中央一点のアライメント プロトラクタもしくは、
     現在の2点で調整するプロトラクタを使用します。
     プロトラクタはどちらでもかまわないとのことです。

     中期型は下の図のようにソケットは下から上に付けますが、後期型は
     横向きにソケットが付いています。

     




3009/3012 Series 2 Improved(1972年以降)

     さらに徹底して軽針圧への対応と、コストダウンがなされます。
     デタッチャブルが出るのもこのシリーズの特徴です。
     横向きにソケットがついています。

     




3009/3010/3012 R(1980年代〜2004年)

     ちょっと先祖がえりしてRシリーズがでます。
     パイプもステンレスパイプになりました。
     ソケットは普通のRCAタイプに変更されました。
     Series 2に比べて使いやすくなっていますが、
     ナイフエッジは真鍮などに変更しないと、この
     トーンアームの実力は出ないでしょう。

     
     SME 3012R (写真提供 Studio Kuroさん)

 このあと、Series III/IV/V/300系と重なりながらも続きます。
 チタンパイプの採用など軽針圧へのさらなる徹底的な対応が中心課題だったようです。
 なお、3010Rというのは日本からの要望で作られたモデルで、
 GARRARD 401との組み合わせたときに使いやすいように1インチ
 長めにしたものです。




SME 3009/3012の機構的なチューニング

  機構的にいじるとすれば下記の二箇所になります。
  1) BASE PLATEが薄い場合、厚いものに交換する。
  2) IMPROVEDの場合、真鍮などのナイフエッジに交換する。

  これ以外はいじるべきでは無いでしょう。
  物には時代の音が宿るからです。




使用する上での注意事項

  このトーンアームは日本製と異なり、「適切かつ当を得た」トルクで
  締め付けなければなりません。特に、ベースプレートのグルメットが
  潰れないが、滑らない程度に締める事が重要です。
  また、非常に華奢にできているのでちょっと手荒に扱うとすぐに
  アライメントが狂います。狂ったら最初からやり直しです。
  特に、高さやヘッドシェルがレコード面と平行であるかについては、
  手が当ったら、確認しなおす必要があります。

  サブウエイトとラテラル機構については、レコード面と平行である必要は
  無いとマニュアルには記載がありますが、できれば並行にしておきたい
  ものです。

  最近あるMOOKの表紙で、気になる写真を見ました。
  GARRARD 301にSME 3012Rが写っていたのですが、GARRARDと一緒に
  使用する場合は、必ずスペーサーか、高さのあるベースプレートを使用
  しなければなりません。
  これはあまり高くすると、トーンアームの垂直軸が、斜めに傾いてしまう
  からです。ですから、スペーサーは必要です。当然重心は低い方がよい
  ので、高さと重さのあるベースプレートの方が、音は良くなります。
  なお、ゴムのグルメットは外さないほうが、SMEらしい音がします。



参考となるページ

 SME3009/3012の変遷について解説したページ

 SME Ltd

 SME関連のマニュアルはこちらからどうぞ

 オフセット角度から見たセットアップについて解説したページ

 調整(セットアップ)方法はコチラからどうぞ


 なお、SMEの保守パーツは下記で調達できます。(決済はPaypalで行います)
 https://www.kraudioproducts.com/SME/

 アライメントなどについて有用なページ
 Studio Kuroさん Studio Kuroさん提供のプロトラクタはコチラです。

 ベースプレートについては、こちらなどは良いかもしれません。
 vcyoyoさんのページ

 真鍮ナイフエッジは、ebayなどで拾ってください。

 ELMO1963さんのアームリフター修復のページ
 秀逸な記事です。さすが。



この記事からの派生記事?
ハイファイ堂さんの2007年9月28日のメルマガ
さすがに写真は自前のものを使用しているようです。
もし参考にしたいのなら、事前連絡か参照先くらいの書き方は欲しかったですね。
個人でパクルのは何にも言いいませんが・・・



SME社の資料抜粋

ALIGNMENT PROTRACTORS

3805

2295

3968/9

3968/10

3968/12

4911

5911

Single null point type. for Series I, II and Series II/S2 Improved.

Double null point type, for Series II Models 3009-R, 3010-R and 3012-R, Series III and IIIS.

Series 300 Model 309.

Series 300 Model 310.

Series 300 Model 312.

Series IV.

Series V.


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