アナログ調整法(Oliver Method)特集
( How to setup Analogue related items. )

 アナログ愛好者はいまだに多いと思います。
 また、古き良きSME30xxシリースをお使いの方も多いかもしれません。

 しかしながら、SMEの調整方法をはじめ、アナログ調整法はきちんとしたものが
 雑誌を見てもどこを見ても整理してかかれたものはほとんどありません。

 また、雑誌の特集も当たり障りのないことが中心で、基本的には品川無線
 (GRACE)の最初に作った使用法の説明のままであるような気もします。

 これは、静的な調整法と呼ばれるものです。
 もちろんこれをないがしろにしては、アナログの調整は出来ません。

 私は、たまたまアナログ関係の師に恵まれてきたせいもあって、いくつかの
 調整方法を授かってきました。その中で戦後SMEをたくさん使用してきた、
 BBC機器調整係であったオリバー氏より、「広く伝えるべし」という前提で実兄
 が学んできました。
 そのオリバー法を、私と実兄が使いやすく簡略化したものがここで
 ご紹介する「オリバー法 Oliver Method」です。

 その前に、静的な調整法のおさらいをします。
 なぜなら、これが本当の基礎だからです。

 静的調整法とは、一般的なアナログオーディオ入門書の言う項目を言います。

 1) まず、重量のある平らな場所におきます。

 2) 次に、スピンドルを納めている軸受けのアウタースピンドルケースの上面が、
    完全に水平が出ていることが重要です。

   TD124での調整例

 3) カートリッジをシェルに取り付ける。
    この時、前と下から見て左右に傾かないようにシェルの中心に取り付ける。
    また、適度に締めてガタがないようにする。
    なお、鉄ねじはダメ。真鍮かステンレス、アルミのねじが良い。
    一時的には真鍮がもてはやされたが、ネジの径は2.6mm。
    ネジ専門店や通販で手に入る。

 4) リード線を取り付ける。+−とLRがメーカーによって異なるので、
    間違えないように注意して取り付ける。また、リードワイヤをこじると、
    カートリッジ内部の配線が切れるので、こじらないように気をつける。
    なお、取り付ける前に赤ちゃん用の綿棒で、端子を磨いておく。

 5) トーンアームにカートリッジを装着する。

 6) 針先がトーンアームで規定されているオーバーハングが出るように
    位置を調整する。SMEの場合は、一般的に2箇所でトラッキングエラーを
    調整するので、きちんと専用のテンプレートでトラッキングエラーが大きく
    ならないように調整する。できれば、0.05mm以内にオーバーハングの違いを
    押さえる。ただしレコードの厚みで狂うので、一番良く聴く厚さのレコードで調整する。

 7) トーンアームが水平になるようにメインウエイトを動かして、ゼロ(0)バランス
    を出す。

 8) ラテラルバランスを取るために台の後ろを少し持ち上げ、トーンアームが
    左右にぶれないように、ラテラルバランスウエイトを左右にずらして調整する。

 9) カートリッジ毎に指定された適切な針圧をかける。

 10) インサイドフォースキャンセラーを、針圧に見合った量にセットする。
    インサイドフォースキャンセラーが掛かり始めるところが、トーンアームの
    マニュアル指定位置になるようにする。
    (FR−6xの場合レコードに掛かる20mm前後から掛かるようにするが、
     適切なフォースは目盛りの1/3であることに注意する)


 これらが、いわゆる静的調整法です。
 これが基礎ですので、はずすとひどい目にあいます。
 この静的な調整法を前提に、オリバー法を使用します。

 このオリバー法は、第二次世界大戦後、かの大英帝国国営放送(BBC) で、
 機器調整係をしていたオリバー氏が考案したとされる方法で、SME の古いタイプ
 をお使いの方は、ぜひとも知っておいてほしい方法です。
 まず、オリバー法の基礎からお話しましょう。

 オリバー法は、ターンテーブルの中心であり、回転の基礎を作っている スピン
 ドルが垂直であることをまず重視します。これは言われてみればきわめて理に
 かなったことです。スピンドルの軸が傾いている場合には、ミクロン単位で軸は
 すりこぎ運動 をすることになります。これは、レコードの回転が楕円運動をする
 だけでなく、やがてスピンドル そのものをダメにしてしまうきわめて重要なことです。
 ですから、まずオリバー法では、スピンドルを納めている軸受けのアウター
 スピンドルケースが、垂直=上面が水平に取り付けられている=アウター
 スピンドルケースの上面が、完全に水平が出ていることをまず第一の基本と
 します。

   TD124での調整例

 オリバー法は、「ターンテーブルの中心であり、回転の基礎を作っているスピン
 ドルが垂直であることをまず重視する」ということを今、お話しました。
 これを確認するためには、東急ハンズで2個1セット 550円〜600円 程度で
 売られている小型の水準器が便利です。この設定には2個必要ですから、
 これをお買いになる事をお勧めします。(上の写真をご覧ください)
 一個の重量が0.75gです。
 後で必要となりますので、この小型の水準器の重量は小数点2桁で確認して
 ください。 オリバー法は、動的状態=レコードを演奏している状態での、水平性
 を問題にします。一般的に行われている、目視による水平は静的状態=レコード
 を演奏していない状態か、トーンアームの水平を出すためのもので、肝心のカート
 リッジと、レコードの演奏中の状態を表すものではありません。
 「ターンテーブル スピンドル軸が垂直=スピンドルアウターケース 上面が水平」
 であることを確認しましたので、今度は、「トーンアーム軸が 垂直=トーンアーム
 固定ベースが水平」であることを確認します。
  「トーンアームベースの平らなところ=トーンアームの水平回転軸に対して、 90度
 の平面」が、スピンドル軸に水準器を置いたまま。もうひとつの 水準器で、水平
 であることを確認してください。 これで、プラッターとトーンアームベースが同様に
 水平であることが、確認できたことになります。
 ここまで確認できましたら、スピンドル側の水準器を取り出して、プラッターをはめて
 ください。

   トーンアームベースの水平を出す

 次に、トーンアームとカートリッジの動的状態における調整をお話 します。
 別に難しいことを言っているのではなく、レコードを掛けている状態で、きちんと
 水平が出ているかと言うことを問題とするということです。これを行うには、いったん
 目視で行うトーンアームの調整を行った上で、針圧を0.75g軽くします。この上で、
 シェルの中心部か若干後ろ、カートリッジが取り付けてある部分と 平行なシェル
 上面に、前回ご紹介した小型の水準機を置きます。
 この状態で、レコードを演奏してください。この状態で、アームベースの高さが問題
 となるだけのはずですが、左右に ずれている場合は、左手で左右のどちらか傾け
 方向に軽く力を加えながら、ロックナットを閉めてください。
 結構調整幅があるものです。
 それでも間に合わない場合は、シェル取り付け部の小さなネジを緩めて、水平を
 出します。これで調整すると、いままで水平だと思い込んでいたのが如何にずれて
 いたか を実感されるはずです。当然レコードの厚みが変わるとこの調整は毎回
 やる事になります。あまりにもずれが大きかったら、基礎1から全部やり直してください。

   レコード演奏中のシェル上部で水平であること


 複雑で精巧なトーンアームで、ユーザーとして整備できるところはコネクターです。
 基本的には、綿棒でクリーニングします。

 1)シェルと本体のコネクター部分の信号が通る4本のピンのところ。

 2)シェル側の信号の通る4本のピン。

 3)リード線を新しいものに交換する。

 4)3)をやるときに、赤ちゃん用の綿棒でクリーニングする。
   アルコールはあまり推奨しない。よほど汚れていれば別だが。

 5)トーンアーム用のDIN5ピン−>RCAのケーブルを新品にする。
   個人的には、オーディオクラフトのケーブルを推奨しています。

 6)DIN5ピンの部分を、赤ちゃん用の綿棒でクリーニングする。

 7)StainMusicのContact Clean System(CCS)で、接点の保護をする。
   7)は、私は大推薦ですが、無理強いはしません。私はすべての接点に
   CCSを適用しています。これだけやればかなり音がクリアーになるでしょう。



以上